JA
寄付する

犬の骨折:応急処置と回復

記事
7分で読めます 最終更新:

出典:動物との暮らしの百科事典『PawPedia』

目次
犬の骨折
白と茶色の犬が、ワイヤーサークルの中のふわふわのベッドでぬいぐるみのそばに横たわり、人に背中をなでてもらっている。
ワイヤーサークルの中で、ぬいぐるみと一緒にやわらかいベッドで休む犬
原因主に外傷:交通事故、転落、ほかの動物とのけんか、一部のスポーツによるけが
子犬やわらかい成長板は、ちょっとした転落や激しい遊びでも折れることがある。すねの骨では、主に生後約4〜8か月で起こる
よく見られる症状突然の激しい跛行(足を引きずる)。多くの犬は、けがをした脚を地面から浮かせる
診断X線検査で、どの骨がどのように折れているかがわかる
治療骨の部位、骨折の状態、犬の状態に応じて、獣医師が副木やギプス、またはプレート・スクリュー・ピンを使う手術を選ぶ
予後ほとんどは迅速な治療と適切な安静でよく治る。多くの犬は以前と同じように活動できるまで回復する
予防道路の近くではリード、きちんと閉まるフェンスと門、車内ではクレートまたはハーネス型の固定具
人へのリスク痛みのある犬は、普段はおとなしい犬でも咬むことがある
緊急となる場合車にはねられた、高い所から落ちた、骨が皮膚から出ている、大量の出血、立てない、呼吸困難、歯ぐきが白っぽい、または倒れる(虚脱)

犬の骨折のほとんどは、迅速に治療を受け、骨がつながるまでの間しっかり安静にしていれば、よく治ります。多くの犬は、その後、以前と同じように活動できるようになります。

このガイドでは、骨折の見分け方、愛犬を安全に動物病院へ連れて行く方法、獣医師が副木と手術のどちらを選ぶかの考え方、自宅でのケアの方法を解説します。

犬が骨折する原因

骨折のほとんどは外傷によるものです。交通事故、転落、ほかの動物とのけんか、一部のスポーツによるけがなどが原因になります。骨折には、皮膚が破れていない閉鎖骨折と、傷が骨まで達している開放骨折があります。開放骨折は感染のリスクが高く、数時間以内に獣医師の治療を受ける必要があります。

子犬の長い骨の端の近くには、やわらかい成長板があります。この部分は成熟した骨よりも弱く、ちょっとした転落や、脚が何かに挟まったとき、ほかの犬との激しい遊びなどで折れることがあります。すねの骨では、こうした骨折は主に生後約4〜8か月の子犬に起こり、活発な中型犬や大型犬に多く見られます。

軽くぶつけただけで骨が折れることもあります。これは、たとえば高齢犬の骨腫瘍や、成長期の子犬の栄養バランスの偏った食事などにより、病気で骨がすでに弱くなっている場合に起こることがあります。獣医師はこれを病的骨折と呼び、治療は原因によって異なります。

骨折の兆候

最もよく見られる兆候は、突然の激しい跛行(足を引きずること)です。多くの犬は、けがをした脚を地面から浮かせ、体重をかけようとしません。また、1か所が腫れている、その部分に触れると痛がる、脚が曲がって見える、もう一方の脚より短く見える、本来動かないはずの場所で動く、といった様子が見られることもあります。開放骨折では脚に傷があり、骨が見えることもあります。痛みのある犬は、ハアハアと荒い呼吸をしたり、隠れたり、触られるとうなったりすることもあります。

捻挫、靭帯の断裂、関節の脱臼は、骨折と非常によく似て見えることがあります。見分けるには、通常、診察とX線検査が必要です。

緊急を要するとき

骨折が疑われる場合は、必ず獣医師に診てもらってください。愛犬が車にはねられた、高い所から落ちた、骨が皮膚から見えている、大量に出血している、立てない、といった場合は、すぐに動物病院へ向かってください。呼吸困難、歯ぐきが白っぽい、衰弱、倒れる(虚脱)といった症状は、ショックや内出血の兆候である可能性があり、緊急の治療が必要です。

車にはねられた犬は、脚の骨折に加えて、目に見えないけがを負っていることがあります。胸やおなかの中の出血、膀胱の破裂、肺の打撲(肺挫傷)、肺のまわりへの空気の漏れなどが起こりえます。こうしたけがの中には、兆候が現れるまでに最大で2日かかるものもあります。そのため、重大な事故のあとは、獣医師が経過観察のために犬を入院させることがよくあります。事故のあとに立ち上がって歩いた犬でも、診察は必要です。

動物病院へ向かう間の応急処置

目的は、それ以上傷つけないように犬を動かさずに保ち、すばやく獣医師のもとへたどり着くことです。出発前に動物病院へ電話しておけば、スタッフが受け入れの準備をし、犬を運ぶ最善の方法を教えてくれます。そのほかの緊急時については、犬と猫の応急処置のガイドをご覧ください。

  • まずは自分の身を守りましょう。痛みのある犬は、普段はおとなしい犬でも咬むことがあります。やわらかい口輪や細長い布が役に立ちます。ただし、犬が吐いている、呼吸が苦しそう、胸にけがをしている、短頭種(鼻の短い犬種)である場合は除きます。口輪をつけている間は、ずっと犬のそばについていてください。
  • 脚はそのままの状態にしておきます。まっすぐにしようとしたり、骨を押し戻そうとしたりすると、さらに傷つけてしまうことがあります。
  • 開いた傷は、清潔なガーゼか清潔な布で覆います。出血している場合は、布の上から手でしっかり押さえます。血がしみ出てきたら、最初の布ははがさずに、その上からさらに重ねてください。
  • 頭、首、背中はできるだけ動かさないようにします。大きめの犬は、平らな板や厚い段ボール、折りたたんだ毛布の上に滑らせるように乗せ、担架のようにして運べます。小型犬はキャリーや箱に入れて運べます。
  • 獣医師から手順の説明を受けない限り、自宅で副木を当てるのは避けたほうがよいでしょう。ひじやひざより下の骨折は、移動の間、副木で支えられる場合もありますが、正しく当てられていない副木はかえって害になることがあります。脚のもっと上の部分の骨折は副木で固定するのが難しいため、通常は犬を狭いスペースに入れておくほうが安全です。
  • 人間用の鎮痛薬は避けてください。人によく使われる鎮痛薬は、犬に胃の出血、腎臓の障害、肝臓の障害を引き起こすことがあります。獣医師は、犬にとって安全な鎮痛薬を使うことができます。

獣医師による診断と治療

獣医師はまず呼吸、循環、出血の状態を確認し、鎮痛処置を行います。骨の修復は、犬の状態が安定してから行われます。X線検査で、どの骨がどのように折れているかがわかります。車にはねられた犬では、胸部X線検査、超音波検査、血液検査も必要になることが多く、複雑な骨折の修復を計画する際にはCT検査が役立つことがあります。

すべての骨折に適した、ただひとつの治療法というものはありません。どの治療を選ぶかは、折れた骨の部位、骨折の種類、皮膚が破れているかどうか、犬の年齢・体格・活動量、そして自宅で犬を安静に保てるかどうかによって決まります。

副木やギプスは、ひじやひざより下の一部の単純な骨折、特に骨の治りが早い若い犬に適しています。効果を発揮するには、骨折部の上下の関節を動かないよう固定する必要があります。上腕や太ももでは、包帯で肩や股関節をうまく固定できないため、これが難しく、その部分の骨折には通常、手術が必要です。また、副木やギプスはこすれて圧迫による傷(褥瘡)やそのほかの皮膚トラブルを起こすことがあるため、定期的な確認と交換が必要です。

手術では、脚の内部に入れた金属製のプレート、スクリュー、ピン、ワイヤーで、骨片を正しい位置に固定します。別の方法として創外固定器があり、皮膚の上から骨までピンを通し、脚の外側にあるバーにつなげて固定します。開放骨折は通常、数時間以内に洗浄され、抗菌薬で治療されます。閉鎖骨折は通常、犬の状態が安定したら数日以内に修復されます。

修復後も鎮痛は続けます。理学療法(リハビリテーション)は、脚の筋力と動きを取り戻す助けになるため、治療計画に含まれることがよくあります。

自宅での療養

骨の治癒には時間がかかります。活動量を通常に向けて少しずつ戻し始めるまでに、幼い子犬では4週間以上、成犬では8週間以上が必要で、多くの犬はさらに長くかかります。経過観察のX線検査によって、骨が活動量を増やせるほど十分に治ったかどうかを獣医師が判断します。

  • 愛犬はクレートか、床が滑らない小さな部屋で過ごさせ、走ったり、跳んだり、階段を使ったり、激しく遊んだりさせないようにしましょう。
  • 外に出すのはトイレのときだけにし、短いリードをつけて連れて行きます。大きめの犬は、おなかの下にタオルを通したり、持ち手付きのハーネスを使ったりすると歩きやすくなります。
  • 副木や包帯は清潔で乾いた状態に保ちます。屋外ではビニール袋をかぶせると役立ちますが、室内に戻ったらすぐに外してください。
  • 毎日、足の指を確認しましょう。腫れ、指が広がっている、嫌なにおい、湿り、包帯のずれがある場合は、いずれも数時間以内に獣医師の診察を受けてください。
  • 愛犬が包帯や傷をなめたりかんだりする場合は、エリザベスカラーが役立ちます。
  • 手術の傷口は毎日確認しましょう。最初の数日間の軽い赤みは正常なこともあります。赤みや腫れがひどくなる、分泌物が出る、嫌なにおいがする、傷口が開く、といった場合は、動物病院に連絡してください。
  • 薬は処方どおりに正確に与え、再診の予約はすべて守りましょう。

愛犬が食べなくなった、痛みが強くなったように見える、排尿できない、急に様子が変わった、という場合も獣医師に連絡してください。獣医師やリハビリテーションチームから、手術後の最初の数日間の冷却パックや、関節をゆっくり曲げ伸ばしするなどの穏やかな運動をすすめられることがあります。活動量は、獣医師の了承を得たうえで、段階的に増やしていくのが最善です。早い時期に無理をさせすぎると、インプラントがゆるんだり壊れたりして、治りが遅れることがあります。

骨折の予防

多くの事故は、しっかりとした管理と安全な環境で防ぐことができます。道路の近くではリードをつけて散歩させ、フェンスや門がきちんと閉まるか確認しましょう。車内では、クレートかハーネス型の固定具で愛犬を固定してください。子犬や小型犬が入らないよう、バルコニー、開いた窓、急な階段はふさいでおきましょう。子犬とずっと大きな犬との激しい遊びには目を配ってください。

栄養バランスの偏った食事は成長中の骨を弱くすることがあるため、愛犬のライフステージに合わせた総合栄養食を与えましょう。子犬に手作り食を始める前には、獣医師に相談してください。

保護犬や迎えたばかりの犬

路上で暮らしていた犬は毎日交通の危険にさらされているため、保護された犬は、見つかる前に道路でけがをしていた可能性があります。Paw Squadronでは、救助のあとは毎回、まず動物病院に行き、体を洗います。譲渡の前には、すべての動物が健康診断、治療、ワクチン接種を受け、マイクロチップを装着します。

迎えたばかりの犬は、まだ家のまわりの道を知りません。最初の数週間は、体にぴったり合ったハーネス、リード、閉じた門が、おびえている犬を車の通る道から守るのに役立ちます。

脚が少し曲がっている、歩き方が左右で違うなど、古いけがの跡が残っている犬もいます。成長板をけがすると、子犬が成長するにつれて脚が曲がったり短くなったりすることがあります。こうした様子に気づいたら、古いけがが痛みの原因になっていないか、ケアが必要かどうかを獣医師に相談してください。迎えたい犬について質問がある場合は、よくある質問をご覧いただくか、譲渡のお問い合わせをお送りください。

この記事は一般的な情報であり、獣医学的な助言ではありません。動物の健康については、必ず獣医師にご相談ください。PawPediaの画像の一部はAIで生成されている場合があります。

このページの最終更新日は2026年9月30日です。

ニュースレターを購読する

チームから救助の近況やお知らせをお届けします。