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犬と猫の殺鼠剤中毒:症状と救急処置

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出典:動物との暮らしの百科事典『PawPedia』

獣医学の情報源に基づいてファクトチェック済み

目次

概要

殺鼠剤にはさまざまな有効成分が含まれており、それぞれ異なる仕組みで体に害を及ぼします。最も一般的なタイプは血液を固まりにくくするもので、出血は3〜7日後に始まることが多いため、ペットは最初は普段どおりに見えることがあります。すぐに獣医師に連絡し、パッケージを持参してください。

犬と猫の殺鼠剤中毒
ブラック・アンド・タンの犬が、庭にある木製の物置のドアの下のほうのにおいをかいでいます。
庭の物置のドアのにおいをかぐ犬
原因殺鼠剤はネズミを引き寄せるよう味つけされており、ペットはそれを食べたり、毒餌を食べたネズミを食べたり(二次中毒)する。中に含まれる毒の種類は、色、形、ブランドからは判断できない
毒餌の種類抗凝固剤、ブロメサリン、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、リン化物。それぞれ治療法が異なるため、パッケージが獣医師の役に立つ
抗凝固系殺鼠剤血液を固まりにくくする。出血のサインは通常、中毒量を摂取してから約3〜7日後に現れ、多くは体内での出血で、元気がない、歯ぐきが白っぽい、鼻血、あざ、黒いタール状の便などが見られる
ブロメサリン系殺鼠剤脳と脊髄にむくみを引き起こす。犬では大量に摂取すると数時間以内に震えやけいれん発作が起こり、または1〜5日かけて後ろ脚の脱力やまひが現れる。解毒剤はない
ビタミンD3系殺鼠剤症状は12〜48時間後に現れる。脱力、食欲不振、嘔吐、飲水量と尿量の増加。高カルシウム血症から腎不全に至ることがある
リン化物系殺鼠剤胃の中で有毒なホスフィンガスを発生させ、よだれ、嘔吐、おなかの膨満や痛み、呼吸困難、虚脱、けいれん発作を引き起こす
治療数時間以内に受診すれば、獣医師が吐かせたうえで活性炭を投与することがある。抗凝固剤の解毒剤はビタミンK1で、数週間投与する
予後毒餌の種類、食べた量、治療開始までの早さによって異なる。早期に獣医療を受けることで、回復の可能性が最も高くなる
予防毒餌は、ペットが届かない場所で、いたずら防止型のベイトステーションに入れて使う。パッケージは保管し、害虫駆除業者には使用する製品を尋ね、近くに毒餌がある場合は猫を室内で過ごさせる
人へのリスクホスフィンガスは人にも害を及ぼすことがある。ペットの嘔吐物には人もペットも近づけず、部屋に新鮮な空気を入れる
緊急となる場合元気そうに見えても、ペットが毒餌や毒餌を食べたネズミを食べた可能性がある場合。歯ぐきが白っぽい、出血、あざ、黒い便、震え、けいれん発作、後ろ脚の脱力、または虚脱

ネズミ用の毒餌は殺鼠剤とも呼ばれ、犬や猫の中毒のよくある原因です。毒餌はネズミを引き寄せるよう味つけされており、同じ味がペットも引きつけます。毒餌を食べたあと何時間、あるいは何日もまったく普段どおりに見えるペットが多いため、危険を過小評価しがちです。このガイドでは、毒餌の主な種類、それぞれが引き起こす症状、そして犬や猫が毒餌を食べたかもしれないときにすべきことを説明します。

ペットが毒餌を口にする経路

ほとんどのペットは、毒餌そのものを食べて中毒になります。犬は物置、ガレージ、地下室、庭でブロック状や粒状の毒餌を見つけることがあり、プラスチック製のベイトステーションをかじって開け、中身を食べてしまう犬もいます。また、ネズミが毒餌を運び出して思いがけない場所に落とすこともあるため、置いた場所から遠く離れたところで毒餌が見つかることもあります。猫が中毒になるのは、むき出しの毒餌を見つけた場合が最も多くなっています。

毒餌を食べたネズミやほかの動物を食べて中毒になることもあります。獣医師はこれをリレー中毒または二次中毒と呼びます。狩りをしたり、あさって食べたりする犬や猫では特に重要です。

大型犬だからといって、体の大きさで守られるわけではありません。ごく少量で危険な毒餌もあるため、リスクは家庭で推測するのではなく、必ず獣医師や動物の中毒の専門家に判断してもらいましょう。

殺鼠剤の主な種類

殺鼠剤には、ブロック状、ソフトタイプ、粒状のものがあり、色も緑、青、黄褐色、赤などさまざまです。名前や見た目が似ている製品でも、まったく異なる毒が含まれていることがあります。中に含まれる毒の種類は、色、形、ブランドからは判断できません。主な4つのグループは次のとおりです。

  • ワルファリン、ブロジファクム、ブロマジオロンなどの抗凝固剤。血液を固まりにくくします。古いタイプは通常、ネズミを殺すのに何回か食べさせる必要がありますが、新しい長時間作用型のタイプは1回食べただけで命にかかわることがあります。
  • ブロメサリン。むくみを引き起こすことで脳や神経に障害を与えます。猫は犬よりはるかに影響を受けやすい動物です。
  • コレカルシフェロール(ビタミンD3)。血中のカルシウムとリンを増加させ、腎臓やその他の臓器に障害を与えることがあります。
  • リン化亜鉛などのリン化物。胃の中で有毒なガスを発生させます。

グループごとに必要な治療が異なります。だからこそ、パッケージが獣医師にとってとても役に立つのです。

抗凝固系殺鼠剤と遅れて起こる出血

抗凝固剤は、ペットの殺鼠剤中毒の最も一般的な原因です。肝臓が血液凝固因子を作るのに必要なビタミンKを、体が再利用する仕組みを妨げます。ペットはもともと体内にある凝固因子を少しずつ使い果たしていくため、最初は何も問題がないように見えます。出血のサインは通常、中毒量を摂取してから約3〜7日後に現れます。

出血は体内で起こることが多いため、血がまったく見えないこともあります。次のようなサインに注意しましょう。

  • 元気がない、脱力、または食欲不振(目に見える出血より先に現れることがある)
  • 歯ぐきが白っぽい
  • 呼吸が速い、または苦しそう
  • 鼻血、歯ぐきからの出血、または皮膚のあざ
  • 血を吐く
  • 黒いタール状の便、または便や尿に血が混じる
  • 関節の腫れや痛み
  • 倒れる

愛犬の便が黒っぽい、または血が混じっている場合は、犬の血便のガイドで、色の違いが何を意味するかを説明しています。

ブロメサリンと神経の障害

ブロメサリンには解毒剤がありません。脳と脊髄にむくみを引き起こします。犬では、大量に摂取すると数時間以内に震えやけいれん発作が起こることがあります。摂取量が少ない場合は、1〜5日かけて後ろ脚の脱力やまひが現れることのほうが多くなります。猫では、摂取量にかかわらず脱力とまひの形で現れる傾向があります。症状には次のようなものがあります。

  • ふらふらした歩き方や後ろ脚の脱力(まひに進行することがある)
  • 筋肉の震えやけいれん発作
  • 過度の興奮、または元気がなくぼんやりしている
  • 嘔吐や食欲不振
  • 異常な姿勢、重症の場合は昏睡

回復には時間がかかることがあり、症状が何週間も続くこともあります。神経に永続的な障害が残る動物もいるため、迅速な治療が非常に重要です。犬のてんかんとけいれん発作のガイドでは、発作中に犬の安全を守る方法を説明しています。

ビタミンD3系殺鼠剤と腎臓の障害

アメリカでは近年、コレカルシフェロールを含む毒餌による中毒が急増しています。症状や血液の変化は、毒餌を食べてから12〜48時間後に現れることがよくあります。脱力、食欲不振、嘔吐、いつもより水を飲む量と尿の量が増える、脱水などです。嘔吐物や下痢便に血が混じることもあります。

非常に高いカルシウム濃度は軟部組織にミネラルを沈着させることがあり、最も影響を受けやすいのは腎臓です。腎不全につながることがあり、長期にわたる腎臓病が残るペットもいます。治療には数日間の入院と繰り返しの血液検査が必要になることがあります。

リン化物系殺鼠剤は人にも危険

リン化物は胃酸と反応してホスフィンガスを発生させます。症状はすぐに現れ、よだれ、嘔吐、おなかの膨満や痛み、呼吸困難、虚脱、けいれん発作などがあります。このガスは人にも害を及ぼすことがあります。ペットがこのタイプの毒餌を食べたあとに吐いた場合は、人やほかの動物を嘔吐物に近づけず、部屋に新鮮な空気を入れましょう。車の中で吐いた場合は、安全であれば窓を開けてください。胃の中に食べ物があると発生するガスの量が増えるため、ペットに食べ物を与えないでください。

すぐにすべきこと

愛犬や愛猫が殺鼠剤や毒餌を食べたネズミを食べたかもしれないと思ったら、すぐに行動しましょう。症状が出るのを待ってはいけません。

  • ペットが元気そうに見えても、すぐにかかりつけの動物病院か最寄りの救急動物病院に連絡してください。
  • パッケージを探しましょう。製品名と有効成分を書き留めます。ラベルがはっきりしない場合は、パッケージに記載された登録番号が製品の特定に役立つことがあります。
  • パッケージ、またはラベルを鮮明に撮った写真を動物病院に持っていきましょう。
  • 毒餌がどのくらいなくなっているか、ペットがいつ食べた可能性があるかを推定しましょう。
  • 獣医師から指示がない限り、ペットを吐かせないでください。家庭で猫を安全に吐かせる方法はありません。
  • 獣医師に勧められない限り、牛乳や食べ物などの民間療法を与えないでください。
  • ほかのペットを毒餌や嘔吐物に近づけないようにしましょう。

どの製品だったかわからなくても、受診してください。獣医師は製品がわからなくても治療を計画でき、動物の中毒相談サービスから助言を受けることもできます。家庭でのほかの緊急事態については、犬と猫の応急処置のガイドをご覧ください。

獣医師による殺鼠剤中毒の治療

毒餌を食べてから数時間以内に受診し、まだ症状がない場合は、できるだけ多くの毒餌を取り除くために、獣医師が吐かせることがあります。そのあと、腸に残った毒を吸着させるために活性炭を投与することがあります。活性炭は獣医師だけが投与すべきもので、家庭で与えてはいけません。

抗凝固系殺鼠剤の解毒剤はビタミンK1です。通常は数週間にわたって口から投与し、長時間作用型の毒餌では約4週間になることがよくあります。缶詰フードなど脂肪を含む食事と一緒に与えると、吸収がよくなります。最後の投与から数日後に、獣医師が血液凝固検査を再度行います。血液がまだ正常に固まらない場合は、治療をさらに続けます。ペットが元気そうに見えても、錠剤を自己判断で早くやめないでください。すでに出血しているペットは、入院や輸血・血漿輸血が必要になることがあります。少しぶつけただけでも出血することがあるため、回復中は激しい活動を控えさせましょう。

ブロメサリンの場合、治療には活性炭の繰り返し投与、脳のむくみを抑える薬、震えやけいれん発作を抑える薬、看護ケアが含まれます。ビタミンD3系の毒餌の場合、ペットには通常、輸液、カルシウムを下げる薬、カルシウム・リン・腎臓の数値の繰り返しの血液検査が必要です。何週間も経過観察が必要になることもあります。

見通しは、毒餌の種類、食べた量、治療開始までの早さによって異なります。早期に獣医療を受けることで、回復の可能性が最も高くなります。

殺鼠剤中毒の予防

  • 毒餌は、ペットが届かない場所でのみ使い、いたずら防止型のベイトステーションを選びましょう。犬はベイトステーションをかじって開けることがあり、ネズミは毒餌を運ぶことがあるのを忘れないでください。
  • 自宅の敷地内で使用した製品は、パッケージかラベルの写真を保管しておきましょう。
  • 害虫駆除業者には使用する製品を尋ね、ペットを飼っていることを伝えましょう。
  • 近所の人に、毒餌を置いたら知らせてもらうよう頼みましょう。
  • 農場、倉庫、ごみ置き場、建物の地下室の近くを散歩するときは、愛犬から目を離さないようにしましょう。
  • 近くで毒餌が使われている場合は、猫を室内で過ごさせるか、目の届くところにいさせましょう。

猫を室内で飼うことのメリットとデメリットについては、室内飼いと外飼いの猫で取り上げています。薬、食べ物、植物など、家庭内のほかの危険については、犬と猫にとって身近な家庭内の毒物をご覧ください。

路上の動物と保護されたペット

野良犬や野良猫は、殺鼠剤がよく使われる建物の周辺、ごみ置き場、農場のまわりで暮らしていることが多く、その経歴はたいていわかりません。Paw Squadronでは、保護したすべての動物が動物病院で健康診断と駆虫を受けます。新しく迎えたペットが弱々しい、歯ぐきが白っぽい、あざができやすいといった様子があれば、実際に目撃していなくても、毒物に触れた可能性があることを獣医師に伝えてください。

健康に役立つ実践的なガイドは、PawPediaでほかにもご覧いただけます。私たちからの譲渡についての質問はよくある質問でお答えしています。

出典

オンライン資料

  1. Rodenticide Poisoning · Merck Veterinary Manual
  2. Anticoagulant Rodenticide (Warfarin and Congeners) Poisoning in Animals · Merck Veterinary Manual
  3. Bromethalin Poisoning in Animals · Merck Veterinary Manual
  4. Cholecalciferol (Vitamin D3) Poisoning in Animals · Merck Veterinary Manual
  5. Anticoagulant Rodenticide Poisoning in Dogs · VCA Animal Hospitals
  6. Bromethalin Rodenticide Poisoning in Cats · VCA Animal Hospitals
  7. Fact Vs. Myth: Pets and Rodenticide · ASPCA
  8. Pets Consuming Rat Poison Pellets · Pet Poison Helpline
  9. Phosphides · Pet Poison Helpline

百科事典

  1. Rodenticide · Wikipedia
  2. Rodenticide · Encyclopædia Britannica
  3. В. А. Рыльников. Родентициды [Rodenticide] · Большая российская энциклопедия, т. 28, Москва, 2015, с. 580 (archived copy)
  4. 殺鼠剤 [Rodenticide] · 日本大百科全書(ニッポニカ), 小学館, via Kotobank

書籍

  1. Peterson ME, Talcott PA (eds.). Small Animal Toxicology. 3rd ed. St. Louis: Elsevier, 2013. ISBN 9781455707171
  2. Роудер Дж. Д. Ветеринарная токсикология [Veterinary Toxicology]. пер. с англ. Москва: Аквариум, 2017. ISBN 9785423802769
  3. Silverstein DC, Hopper K (eds.). Small Animal Critical Care Medicine. 2nd ed. St. Louis: Elsevier, 2015. ISBN 9781455703067
  4. 日本比較薬理学・毒性学会 編. 獣医毒性学 [Veterinary Toxicology]. 東京: 近代出版, 2020. ISBN 9784874022603
  5. Ettinger SJ, Feldman EC, Côté E (eds.). Textbook of Veterinary Internal Medicine: Diseases of the Dog and the Cat. 8th ed. St. Louis: Elsevier, 2016. ISBN 9780323312110

この記事は一般的な情報であり、獣医学的な助言ではありません。動物の健康については、必ず獣医師にご相談ください。PawPediaの画像の一部はAIで生成されている場合があります。

このページの最終更新日は2026年11月6日です。

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